【運動が続かない方向け】スポーツ内科医がおすすめする「便秘に効く運動」の3つのポイント

更新:2021年03月19日
この記事の監修者
烏山 司 先生(消化器内科医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター)

消化器内科医として勤務する傍ら、スポーツドクター資格も取得。一般の方からアスリートまで、専門である消化器を中心に内科領域全般の診療を行っている。

便秘解消には適度な運動が必要ということはよく知られているものの、以下のような悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。

「運動習慣がないので、どんな運動をしたらよいか思いつかない
「テレビで便秘に効く体操などを見るが、継続できない

実際、内科医として便秘で悩む患者さんに運動を勧めると、「どんな運動をすればよいですか?」と質問されることが多いです。

さまざまな運動がありますが、便秘改善には「有酸素運動」が効果的であることがわかっています。この記事では、比較的取り組みやすく、便秘解消に効果がある運動をご紹介します。

便秘に効く運動は「有酸素運動」がおすすめ

 「有酸素運動が便秘解消に効果的である」ということ関しては、さまざまな研究で確認されています。どんな効果がわかっているのか、簡単に紹介しますね。

有酸素運動による便秘の解消効果

  • ウォーキングやランニング、筋トレを行うことで、大腸内の便の通過時間が短縮した
  • 週1回運動をする人と毎日運動をする人では、毎日運動する人の方が、便秘が少ない
  • 高齢の方を対象とした研究で、家の中の歩いた距離が短いと(1日に歩いた距離が500メートル以下の場合)、便秘が多かった

このように、有酸素運動が便秘を解消することを示す研究がたくさんあります。年齢や性別に関係なく、便秘で悩むすべての方に有酸素運動はおすすめです。[1]

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それでは、便秘解消のために有酸素運動を行う上で、心に留めていただきたい3つのポイントをお伝えします。

便秘に効く有酸素運動をするための3つのポイント

「運動しよう」と決心すると、ジムに行ったり、プールに行ったり、ヨガに行ったり、といったことに取り組む方も多いですが、こういった運動は、お金も時間もかかります。もちろん楽しく続けられる方にはおすすめですが、「そこまでして取り組みたくはないし、どうせ続かない」と感じる方も多いかもしれませんね。

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ここからは、私の内科医の経験から、普段運動をしない方が有酸素運動に取り組む上でのポイントを紹介します。

ポイント1:日常の動きの延長で運動を取り入れよう

まずは、「運動」に対するハードルを下げてみましょう。

誰でも毎日、有酸素運動をしています。少なからず歩いているでしょうし、家事をしたり、子どもと遊んだりするのも有酸素運動です。

意識的に探してみると、日常の中でなにかと動いていると思いますので、新しい運動に取り組むよりは、「普段の動きの延長でできる運動」を考えてみてください。

たとえば、

  • 職場で1階だけの移動の時は階段を使う
  • 駅の移動でエスカレーターを使わずに階段を使う
  • 自宅で掃除をこまめにしてみる

といった取り組みでも十分に効果はあると思います。

これまでの研究でも、肩で息をするような激しい運動よりも、心地よく感じるくらいの運動の方が、自律神経の働きを良くし、また腸への物理的な刺激によって便秘を改善すると考えられています。

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さらに、「ねじり運動」を加えると、より便秘解消効果が上がる、と言われています。ストレッチも兼ねて、体をねじる動作も取り入れてみてください。[1]

おすすめの有酸素運動については、屋外で出来るもの、室内でできるものを後ほど紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

ポイント2:毎日でなくていいので継続的に有酸素運動に取り組もう

週1回運動をする人と毎日運動をする人では、毎日運動する人の方が便秘が少ないことがわかっています。そうはいっても、普段運動をしない方が毎日運動するなんて、絶対無理!と感じてしまいますよね。

有酸素運動は、便秘以外にも、リフレッシュ効果や口腔内の 炎症を抑える効果などがありますが、週に2回の運動でも効果があることがわかっています。[2]

また運動の種類もエアロビクス、ゴルフ、サッカー、バトミントンなどと、多岐にわたるスポーツで効果があったそう 。[3]

友人や家族との遊びを兼ねて、週末から取り組んでみるのもよいと思います。

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余談ですが、「30分以上運動しないと脂肪は燃えない」と聞いたことがある方もいるかもしれませんが、30分続けて運動した場合と、10分の運動を3回した場合では、脂肪燃焼効果に違いがなかった、と言われています。

便秘解消の意味でも、ダイエットの意味でも、「続けて運動しないと意味がない」と思わずに、ちょこちょこ運動を重ねていけばOKです。

ポイント3:心拍計をつけて自分への負荷を可視化しよう

「どれくらいの激しさで運動すればよいのか」と聞かれることもあります。

運動の負荷の目安になるのが「心拍数」。具体的には、「最大心拍数の40〜60%程度」がちょうどよい運動をしているときの心拍数です。

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そう言われてもわかりづらいですよね。50歳の方を例に、説明しますね。

まず、最大心拍数というのは、目安として「220-年齢」で計算できます。50歳であれば220-50=170となります。

この数字の40〜60%が目安ですので、0.4と0.6をかけてみましょう。40%であれば68、60%であれば102となりますね。

つまり、50歳では、心拍数の上昇が約100程度までの運動が、ちょうどよい有酸素運動と考えられます。感覚的には、「心地よく運動できている」もしくは「わずかにきつい」と感じる程度で運動するようにしましょう。

他の年齢の方も表にしましたので、参考にしてください。

年齢

目安の最大心拍数

運動時の心拍数の目安

(最大心拍数の40〜60%)

20歳

200

80〜120

30歳

190

76〜114

40歳

180

72〜108

50歳

170

68〜102

60歳

160

64〜96

【注意】
心不全や不整脈に対する薬、血圧に対する薬を飲んでいる場合は、心拍数が上昇しにくい場合もあります。また、体重の違いによって、同じような運動をしていても負荷が異なることもあります。
この考え方は、おおよその目安にはなる数値ですが、あくまでも大切なのは自分の感覚です。特に、集団で運動する場合は無理をしがちなので、注意してください。

心拍数の測り方

手首に装着するだけで心拍数を測定してくれる時計が発売されています。高価なものもありますが、安いものだと3,000円くらいから発売されていますので、家電量販店などで探してみてください。ややズレがあることもありますが、目安としては十分使えると思います。

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また、15秒間の脈拍を数え、それを4倍することで、おおよその心拍数を知ることができます。こちらであれば、器具がなくてもすぐにできますので、試してみてください。

便秘解消におすすめの運動例を紹介

では、ここからは「全く運動習慣がなく、何の運動をしたらよいか全く思いつかない」という方のために、簡単にできる運動例を紹介しますね。

おすすめの運動【屋外編】:階段のぼり

日常生活の中で、最も簡単にできてオススメなのは、「階段のぼり」です。

平らな場所を歩くのに比べ、負荷はなんと3倍 ジョギングに匹敵すると言われています。[4]

膝や足に問題を抱えている方は難しいですが、職場や駅、自宅マンションなどで、エスカレーターやエレベーターを使うのではなく、週に何回かは階段をのぼってみましょう。1段抜かしでのぼると、より負荷が強くなるので、余裕のある方はチャレンジしてみてください。

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おすすめの運動【室内編】:フィットネス系のテレビゲーム

室内での運動としては、正直に言うと、腹筋や腕立て伏せ、もも上げなどがオススメではありますが、このような運動はなかなか続かないですよね。

私がたくさんの患者さんと話して、すごい効果だと感じたのは「フィットネス系のテレビゲーム」です。ゲームを楽しみながら運動ができる、さらに複数人でもできる、ということで、継続率がとても高い印象です。

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週末に家族と過ごす時間や、自分だけのリラックスタイムに、テレビゲームでフィットネス。まずはここから始めるのはいかがしょうか。

腹筋マシーンや足踏みマシーンを購入するよりも、非常にオススメです。

最後に今回の内容をQ&A形式で振り返ってみましょう

便秘解消に有効な運動についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。ジムに行ったりヨガに行ったりしなくても、身近なものから取り組んでみるといいと思います。

それでは今回の内容をQ&A形式でまとめてみます。

Q1、便秘解消のために有酸素運動に取り組む上での大切なポイントは?

A1: 大切なポイントは3つあります。

  1. 日常の動きの延長の動きを取り入れること
    エスカレーターやエレベーターを使わずにできるだけ階段を使いましょう
  2. 毎日ではなくていいので継続しよう
    週末だけでもよいので継続的に取り組みましょう
  3. 心拍計をつけて、負荷を可視化しよう
    最適な有酸素運動のペースは、心拍数が大まかな目安になるので、心拍計をつけて参考にしましょう

繰り返しになりますが「日常生活の中でできることを、少しの空き時間など余裕があるときに行う」のがとても大切です。無理をしても、絶対に続きません。

Q2、オススメの有酸素運動は?

A2: 今回の記事では、「階段を登ること」「フィットネス系のテレビゲームを行うこと」の2つをおすすめしました。

特にイチオシはゲームです。1人ではなく複数人で、またゲーム要素があって得点を競ったりすると、俄然やる気が出てきます。自宅で家族とゲームをすることで、健康的な生活になりますし、家族とのコミュニケーションにもなりますよ。

ぜひ楽しみながら、生活に運動を取り入れてくださいね。

参考文献

  1. 日本大腸肛門病会誌(年間 1-10 号)第 72 巻第 10 号 2019 年 10 月・高野正太
  2. 心身医・2001年4月・第41巻 第4号・志村正子
  3. 日本体育大学スポーツ科学研究 Vol.1 1-7, 2012, 韓 一栄
  4. 改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』 (独)国立健康・栄養研究所
この記事の監修者
烏山 司 先生(消化器内科医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター)

消化器内科医として勤務する傍ら、スポーツドクター資格も取得。一般の方からアスリートまで、専門である消化器を中心に内科領域全般の診療を行っている。

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